日本語はいろいろな表現がある言語で、同じような言葉も数多くあります。
中でも十分と充分は言葉の読みも同じで意味にも違いがないように見えます。
でも実はこの二つ、公文書などではちゃんと使い分けられているのです。
この違いを知っておくと、書類や文章をより正しく作成できるようになりますよ!
それでは説明します。
十分と充分の違いは満足しているものが物質的か精神的か
まず最初に言っておきますが、十分と充分は一般的には明確な区別はなく、手紙などの個人的な文書ではどちらを使っても問題ありません。
しかしながら文字によるニュアンスの違いはあり、その違いを説明すると以下のようになります。
- 十分は物質的に満たされていること
- 充分は精神的に満たされていること
それでは十分と充分についてそれぞれをもう少し詳しく説明します。
十分とは
十分は満たされていることを示す言葉で、この言葉の「分」は10分割の中の割合を指すものです。
桜の開花状況で「三分咲き」などというのもこれで、つまり十分とは十分割の中の十、100%のことです。
同じく十二分と言えば120%になり、求められるものよりもさらに上を指す意味で使われます。
充分とは
充分は「充」に満たすという意味があることから満足なことを示す言葉で、その点では十分と同じです。
「充」という字は他にも「充実」「充足」など精神的な満足を示す言葉に使われていることから、充分も同様に気持ちの上で満たされることを表す意味で使われます。
この「充分」は明治以後に当て字として使われはじめたもので、元々は十分だけが使われていました。
その理由としては開国により24時間の概念や時計が一般に広まったことで、表記が時間の10分と紛らわしくなったためと言われています。
現在は漢数字で時間を表す事が少なくなってきているため誤読を防ぐ意味合いは薄れ、文脈に応じて使い分けられています。
公文書などの書類では十分と充分は使い分けられている
差があいまいな十分と充分ですが、公文書では使い方にガイドラインがあり、基本的には「十分」もしくはひらがなで「じゅうぶん」と書くことになっています。
これは充分よりも十分が先に使われていたことや漢字が平易なため、「充分」は使わず「十分」に統一されています。
日本国憲法では「充分」が使われているのですが、公的なところでは「十分」を使うようにしましょう。
おわりに・まとめ
いかがでしたか?
十分と充分は元々は十分だけでしたが、明治以後に使われた充分という表記が今も使われています。
使われ方も誤読を防ぐ目的もあれば言葉の意味で使い分けをしている場合もあるので、どういう意味合いで使われているのかは前後の文脈からくみ取ることになります。
自分で文章を書く際はどちらの表記でも問題ありませんが、考えるのが面倒な時は十分でいいでしょう。
公文書では十分、もしくはひらがな表記を使う事になっているので、充分は使わないようにしてください。
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