秋になると行われる風物詩の一つがお月見です。
お月見は秋の名月の日に行われ、ススキを飾ったり月見団子をお供えしてお月様を鑑賞します。
小さなお子さんがいるご家庭では家だけでなく保育園や幼稚園のお月見会もあり、親子で楽しみにしている人も多いでしょう。
でももし子供に「なんでお月見でお団子を食べるの?」って聞かれた時にはっきり答えられますか?
お月見はお供えをするということは知っていても、それがいつごろから何のために行われたのかを知っている人は少ないでしょう。
またお月見の正しいやり方についても知っていれば、家庭でお月見を初めてする時に楽しめますね。
この記事では月見団子についての由来や意味、お供えするときの数や並べ方、食べ方をご紹介します。
月見団子の由来と意味
月見団子はお月見の時のお供え物の一つです。
お月見は旧暦の8月15日と9月13日に行われ、秋の収穫に感謝をし、お月様にお供え物を捧げて来年の豊作を祈る行事です。
8月15日の十五夜の月は「芋名月」と言い、団子以外にもサトイモ料理がお供えされます。
それに対して9月13日の十三夜は「栗名月」または「豆名月」と呼ばれ、栗や枝豆をお供えします。
サトイモや栗、枝豆などのお供え物は秋に収穫されるもので、月見団子の原料も秋に収穫されるお米です。
お月見に月見団子が使われるようになった時期については、文献などから江戸時代の中期から後期と考えられます。
日本では縄文時代より月に親しんできましたが、決まった日に月を見て楽しむ習慣はありませんでした。
秋の名月の日にお月見をするのは中国の「望月」という風習が遣唐使によって日本に伝わったものとされています。
文献で初めて月見の行事が登場するのは909年に醍醐天皇が行ったものが最古で、平安時代当時では収穫に感謝してお供え物をする行事ではなく、名月の日に月を見て宴会をしたり歌を詠んだりする貴族の遊びでした。
それが時を経ると共に宴会の規模が簡略化され、室町時代の後期になると宴会ではなくお供え物をするようになります。
江戸時代になると、庶民文化の盛り上がりと共に貴族の行事だったお月見が庶民に広まります。
当初は十五夜に芋煮を食べて遊ぶという形でしたが、江戸時代の中頃からは秋の収穫を感謝してお供え物をするようになり、サトイモや稲穂に見立てたススキを飾るようになりました。
そして後期までには秋の収穫物であるお米を使って団子を作るようになりました。
なお月見団子の形は関東では丸型、関西では細長い俵型に分かれていて、丸型のものは月、俵型はサトイモの形に見立てたとされています。
関西のお月見団子はこんな見た目です。
今でも関西では江戸時代の形がそのまま残っていて、細長い俵型にあんこを巻いた月見団子が食べられています。
また月見団子についてはその丸くて白い形が陰陽五行で秋を象徴する金気が宿るものとされていることから、季節を含めた万物の流れをよくする意味があったと解釈する人もいます。
諸説はありますがいずれにせよ、月見団子は良い未来を願う気持ちが込められたものであることには違いありません。
月見団子の数は何個?
お月見でお供えする月見団子の数には決まりがあり、15個、13個、12個のいずれかです。
15個は旧暦8月15日の十五夜にお供えする個数で、十五夜という呼び名にちなんだものです。
13個も旧暦9月13日の十三夜にお供えする個数です。
12個は一年で満月が来る回数が12回であることに由来していて、満月が13回になる閏年には13個になります。
また15個と13個はそれぞれ十五夜と十三夜の時のみですが、12個はどちらでもお供えすることができます。
数を簡略化して十五夜の時は5個、十三夜の時は3個にすることもあります。
お供えした月見団子はその後食べることになりますから、10個以上は多いという人は5個や3個にするといいでしょう。
月見団子の並べ方と食べ方
こちらでは月見団子をお供えするときの並べ方と食べ方についてご紹介します。
月見団子の並べ方は個数で違う
月見団子というと、三方というお供え物をする器に山型に並べられているイメージがあると思います。
この並び方には決まりがあり、お供えする団子の個数によってどう並べるべきかが分かれています。
まず15個の場合は1段目に3×3の9個、2段目に2×2の4個、3段目に2個を並べます。
この際注意したいのは、3段目の2個が正面(お供えする側からは三方の足に穴のないところが後ろ)から見て縦に並べることです。
これは縦に並べると神事、横に並んでしまうと仏事の並べ方となっているためで、月見では縦に並べることになっています。
13個の場合は1段目に3×3の9個、2段目に2×2の4個を並べます。
12個の場合は1段目に3×3の9個、2段目に3個、5個では1段目に2×2の4個、2段目に1個を並べます。
3個の場合は段にならないので3個を1段で並べましょう。
1段で並べる際の決まった形はないようなので、好みで並べてください。
三方の上にお団子を乗せる時は奉書紙や半紙などの白い紙を敷いた上に乗せます。
敷き方は正方形の紙を三方の正面から45度ずらして紙の端を出す形、長方形の紙を三方の辺に平行に置き同じく端を出す形などがあります。
三方はない家も多いと思いますので、その時はお盆やお皿で代用しても大丈夫です。
月見団子の食べ方
月見団子は時間が経つと乾燥して美味しくなくなりますので、お供えしたその日に食べるのが基本です。
食べ方についてのマナーや決まりはありませんので、月を見ながら食べても月を見た後家の中で食べても大丈夫です。
また月見団子は何個も食べると味に飽きてしまうことがありますので、その場合はアレンジして食べるのがおすすめです。
何もついていない白い月見団子であればきな粉やあんこを付けたり、砂糖醤油やみたらし団子にして食べる、ぜんざいに入れるなどバリエーションは豊富です。
時間が経って固くなってしまった場合は揚げてぜんざいなどの汁物に入れてみてもいいでしょう。
あんこが最初からついている月見団子はきな粉を足したりアイスに添える、あんみつにプラスするといった形で食べられます。
もし当日に食べきれない場合は、ラップで包んで冷蔵庫に入れれば1週間程度保存できます。
また冷凍庫に入れれば長期保存もできます。
解凍する時は電子レンジだと暖まりすぎて溶けるおそれがありますので、常温で1時間程度置くかお湯に入れるのがいいでしょう。
おわりに・まとめ
月見の時に欠かせない月見団子は、江戸時代から作られ始めました。
かつては貴族の遊びだった月見は、秋の収穫を感謝し来年の豊作を願う意味が込められたものへと変わりました。
お供えする月見団子の数や並べ方にも決まりがあり、神事として見れば形を守る必要があります。
しかし家庭で行う場合には細部にこだわらず、楽しくお月見ができればよいのではないでしょうか。
お団子のアレンジも参考にして、家族でみんなでお月見を楽しく過ごしてくださいね。
あなた以外にも、お月見会が近い子供を持つ人がいたらシェアして教えてあげましょう。