あなたは秋の七草を知っていますか?秋の七草の簡単な覚え方と、意味由来・起源を紹介します。
これを知れば秋の散歩がグンと楽しくなるでしょう。テスト前の暗記にも最適です。
もくじ
秋の七草とは?それぞれの名前、意味由来は?
七草といえばセリ・ナズナなど、春の七草がまっさきに思い浮か部ことが多いですね。
お正月には七草を入れた「七草粥」を食べて健康を祈願する古くからの習慣があり、知っている方も多いでしょう。
対して、秋の七草はあまり知られていません。思い出すのに苦労する人もいるかもしれませんね。
秋の七草は、主に観賞用として楽しむ草花です。
種類によっては薬の材料になり、咳止めや風邪薬として利用されています。
萩(ハギ)
秋を代表する草花であることから「秋」に「草かんむり」をつけて「萩」となります。
秋といえば、満月の夜にお団子を供える十五夜があります。
同じく秋の七草のひとつである「薄(ススキ)」と一緒に萩も置かれますね。
万葉集の中では萩を題材にして歌は複数あり、たくさんの人が思いを巡らせるほど美しい花です。
桔梗(キキョウ)
乾燥させた根が固いことが名前の由来です。
「桔梗」を音読みすると「キチコウ」となり、これがなまって「キキョウ」と呼ばれるようになりました。
根には薬用成分があり、咳止めや炎症を抑える漢方薬として利用されます。
さらにこの成分が虫にとっては有害で、自らが食べられることを防ぐ役割もありますね。
現在は数が少なくなり絶滅危惧種に指定されています。
葛(クズ)
たくさんのデンプンを含む根は、乾燥させることで解熱・鎮痛作用のある漢方薬として利用されます。
これは食用にもなり、葛きりや和菓子の原料である葛粉にも使われますね。
由来は、かつての大和国である国栖(クズ)が葛粉の産地であったことから命名されました。
藤袴(フジバカマ)
花の形が袴を帯びて、藤色をしていることが由来です。
乾燥させると桜餅の葉のような香りがし、これ風呂に入れ入浴剤にしたり、防虫剤や芳香剤にしたりしました。
こちらは準絶滅危惧種に指定されています。
女郎花(オミナエシ)
名前の由来は諸説あります。
ひとつに「女郎=オンナ」+「飯=メシ」が合わさり、なまったとされています。
女郎花は花びらが栗の粒に見え、それが女性の飯であったというのが由来です。
乾燥させたものを敗醤と呼び、解熱・解毒作用があることから漢方薬として利用されます。
尾花(オバナ)
その名のとおり、動物の尾を花に見立てて名付けられました。
尾花は別名「薄(ススキ)」です。ススキのほうがなじみがありますよね!
「スス」は葉が真っ直ぐすくすく育つことを表し、芽が出ることから「萌(キ)」を当てたと言われています。
その他に「茅(カヤ)」とも呼ばれます。
茅葺(カヤブキ)屋根というものを聞いたことがありませんか?
その材料に使われています。
撫子(ナデシコ)
可愛らしい小さい花であることから「撫でたくなるくらい可愛い子」として名付けられました。
別名で、大和撫子(ヤマトナデシコ)や河原撫子(カワラナデシコ)とも言いますね。
漢方薬としても使われ、利尿作用や炎症を抑える効果があります。
秋の七草の時期はいつ?
秋の七草の時期は旧暦の7月~9月であり、現在の9月から11月です。
奈良時代に作られたとされる和歌集『万葉集』が秋の七草の起源なのです。(万葉集との関係は後で詳しく説明しますね。)
冬になれば草花は枯れ落ちてしまいます。
その前に美しい花を見て、秋を感じるのは風流ですね。
秋の七草の順番に覚えるには?語呂合わせとか方法はある?
秋の七草が、なかなか覚えられない!という場合に、簡単に思い出せるように語呂合わせで覚えておくといいですよ。
・萩(ハギ)
・桔梗(キキョウ)
・葛(クズ)
・藤袴(フジバカマ)
・女郎花(オミナエシ)
・尾花(オバナ)
・撫子(ナデシコ)
なんの関係もない草花を7つどうやって覚えるの?
そう思うかもしれませんが大丈夫です。
五七五で覚えてみよう
『五・七・五・七・七』の短歌のリズムに合わせることです。
短歌に七草を当てはめるとこうなります。
【(五)ハギ・キキョウ(七)クズ・フジバカマ(五)オミナエシ
(七)オバナ・ナデシコ(七)アキノナナクサ】
最後の一節が「秋の七草」で終わるので分かりやすいですね。
この短歌を頭の中で読むのではなく、口にだすことが覚えるときのコツです。
口にだして耳で聞くことで、リズムを体に覚えさせる意味があります。
あなたにお気に入りの曲はありますか?
好きな曲ほど口ずさむ回数が多く、前後は覚えてないけどサビだけなら歌詞を暗記していることは珍しくありません。
曲のリズムが、歌詞を思い出すきっかけになっているのです。
語呂合わせで覚えてみよう
続いて、それぞれの頭文字を取った『語呂合わせ』で覚える方法を説明します。
語呂合わせは以下の4つです。
注意してほしいのが、尾花は薄(ススキ)の別名なので、
語呂合わせでも薄(ススキ)として扱われています。
『お好きな服は?』
お:女郎花(オミナエシ)
す:尾花(オバナ)※尾花とは薄(ススキ)のことです。
き:桔梗(キキョウ)
な:撫子(ナデシコ)
ふ:藤袴(フジバカマ)
く:葛(クズ)
は:萩(ハギ)
『ハスキーなお袋』
ハ:萩(ハギ)
ス:尾花(オバナ/薄:ススキ)
キ:桔梗(キキョウ)
|
な:撫子(ナデシコ)
お:女郎花(オミナエシ)
ふ:藤袴(フジバカマ)
く:葛(クズ)
ろ
『フナオ君は好き?』
フ:藤袴(フジバカマ)
ナ:撫子(ナデシコ)
オ:女郎花(オミナエシ)
く:葛(クズ)
ん
は:萩(ハギ)
す:尾花(オバナ/薄:ススキ)
き:桔梗(キキョウ)
『大きなハカマ履く』
お:女郎花(オミナエシ)
お:尾花(オバナ/薄:ススキ)
き:桔梗(キキョウ)
な:撫子(ナデシコ)
はかま:藤袴(フジバカマ)
は:萩(ハギ)
く:葛(クズ)
語呂合わせで有名なのは、一番上の『お好きな服は?』です。
字余りがないので思い出しやすいのではないでしょうか。
秋の七草は万葉集と関係がある!その内容とは?
万葉集といえば、国語の時間に習ったけど・・・?さあ思い出してみましょう。
万葉集は奈良時代に作られたとされ、日本に現存する最も古い歌集です。
これが秋の七草と関係があります。
山上憶良(やまのうえのおくら)という名前に聞き覚えはありませんか?
奈良時代初期の歌人であり、彼の歌った2つの歌が関係します。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」 第8巻1537
意味:秋の野原に咲いている花を数えると七種類ある。
「萩の花 尾花葛花(くずはな) なでしこの花
おみなえし また藤袴(ふじばかま) 朝顔の花 」 第8巻1538
意味:秋の七草をそのまま歌にしています。最後の「朝顔」は「桔梗」のことです。
山上憶良が七つの草花を歌にしたことがきっかけで、現在には秋の七草として定着したのです。
歌にするほどの美しさを感じたわけですから、その感性がなければ秋の七草は存在しなかったかも知れませんね。
おわりに・まとめ
春の七草と比べると知名度の低い秋の七草ですが、このような歴史があったのです。
短歌のリズムで覚えたり、語呂合わせで覚えたりするのも暗記が嫌いな人には有効です。
そして、成り立ちから知ることで思い出すきっかけが作れ、より記憶に定着します。
これから外を歩くときには、野に咲く草花に目を向けてみるのもいいですね。