秋から冬への変わり目によく聞くのが「木枯らし一号」です。

「木枯らしが吹くと冬がくる」と言われますよね。

それはどういうことなのでしょうか。

木枯らし一号の定義や条件、また「1号があるなら2号も?」という疑問についてお答えします!

木枯らし一号の定義と条件は?仕組みとは?

木枯らし一号の定義

晩秋から初冬にかけて吹く、初めての北寄りのやや強い風」です。

意味合いとしては、冬の到来を告げる季節の風物詩ですね。

木枯らし一号が吹く条件

木枯らしが吹くには「西高東低の気圧配置」が、必須条件です。

よく天気予報で聞く言葉だと思います。

どういう意味かというと、日本列島を中心として、西側に高気圧、東側に低気圧がある状態です。言い換えると、ユーラシア大陸(ロシア)に高気圧、太平洋に低気圧があるときですね。

ここで少し、中学の理科の復習をしましょう。

固体と液体を比べると、熱されやすく冷めやすいのは固体の方ですよね。

火にかけた金属のヤカンは熱いのに、中の水はまだ温度が上がっていないという状態は経験があると思います。

これは地球規模でもあてはまります。

簡単に言うと、陸地(固体)は海(液体)に比べて熱されやすく冷めやすいのです。

季節が冬の場合を考えてみましょう。

太陽からの光が減少する冬、陸地はどんどん冷めていきます。

それに比べて、海は温度を保ったままです。

日本列島周辺でいえば、ユーラシア大陸は冷たくて、太平洋は温かいわけです。

冷たいユーラシア大陸によって冷やされた空気は下降し、地上に向かって吹きつけます。

これが、高気圧ということです。地上への圧が強いわけですね。

冷房の空気が部屋の下に溜まるのと同じ現象ですよ。

一方、太平洋はユーラシア大陸に比べて、地上への圧が弱い。

つまり低気圧です。

これが、「西高東低の気圧配置」ができる状態です。

木枯らしが吹く仕組み

さて、木枯らしに戻りましょう。

空気は高気圧から低気圧に向かって吹きます。

そうです、ユーラシア大陸から太平洋へ向けて風が吹くのです。

その風は日本海を通る時、たくさんの水蒸気を含みます。

その風は日本列島の中心にある山々にぶつかると、上昇気流になり雲を作ります。

その結果、日本海側で多くの雨・雪が降ります。

日本海側の地域に豪雪地帯が多いのは、こういった理由からです。

日本海側に雪を降らせたあと、水分を失った空気は山を超えて、太平洋側に吹き抜けていきます。

この乾いた風が、木枯らしなのです。

 

木枯らし一号の東京と近畿の基準

ところで、東京と近畿でしゃ木枯らし一号の条件と基準が若干異なるのはご存知ですか?

具体的に見てみましょう。

 

東京の基準

【時期】 10月半ば~11月末の間

【気圧配置】 西高東低の冬型の気圧配置で季節風が吹く

【風向】 東京の風向が西北西~北

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【風速】 東京の最大風速が8m/s以上

 

 

近畿の基準

【時期】 霜降(10月23日ごろ)~冬至(12月22日ごろ)

【気圧配置】 西高東低の冬型の気圧配置

【風向】 北よりの風

【風速】 最大風速が8m/s以上

 

ただし、大阪、神戸、京都、舞鶴、彦根、和歌山、奈良のうち3地点以上で観測した場合。

この基準の違いは特に理由はありません。

木枯らしの定義に科学的基準があるわけではないからです。

木枯らし1号を気象庁が発表する理由は、冬の訪れを知らせるためです。

「この風が吹くと冬だよーー!」と教えてくれるわけですね。

しかし、何によって「冬が来た」と感じるかは、地域によって異なりますよね。

私の住む町では、北にある川の上を風が通り始めると冬を感じます。

そのように冬を告げる風は地域によって違いますから、東京と近畿では木枯らし1号の基準も微妙に違うわけです。

木枯らし一号は東京と近畿だけ報道される!

実は、木枯らし一号が報道されるのは東京と近畿に吹いた時だけなのです。

意外と気づかないですよね。

東京と近畿以外に住む方は、自分の住む地域にいつ木枯らし一号が吹くのか知ることができません。

なぜ、東京と近畿の木枯らし一号のみが報道されるのでしょうか。

それは、、、気象庁が他の地域の木枯らし一号を発表しないからです!

そもそも気象庁が発表していません。

報道機関も気象庁の発表がなければ報道できないですよね。

木枯らし一号はあくまでも、冬の訪れを告げる風物詩です。

科学的根拠があるわけでもありません。

要は、必ずしも発表や報道が必要な事柄ではないのです。

例えば、台風や大雨などは人々の生活に大きな影響を与えます。

そのため、科学的に基準が決められていています。

そして、その基準にしたがった発表・報道がされるべき大事な事柄です。

人の命に関わることですからね。

それに比べて、木枯らし一号はそこまでの重要性はありません。

たんなる季節の話題ですね。

ですから、気象庁も話題になる場所、人口が多い場所を選んで発表しています。

それが、東京と近畿というわけです。

東京と近畿以外の場所では、これまでに木枯らし一号の発表は一度もありません。

木枯らし一号の後に2号や3号はあるの?

木枯らし2号や3号はあります。

「西高東低の気圧配置」が強くなれば、木枯らしは吹きますので、太平洋側では頻繁に吹いていて、気象庁も観測はしています。

しかし、世間の関心が低いので発表することはありません

存在はしているのですが、天気予報を見ていても、お目にかかることはないんです。

おわりに・まとめ

木枯らし一号についてまとめました。

その仕組を理解すると、冬の風物詩である理由がよくわかりますね。

木枯らし一号が吹くと、乾燥や冷え強まりますので、お気をつけてください。

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