クリスマスケーキといえば、ブッシュドノエル。この言葉の意味や由来が実は面白いんです。木の形をしたケーキご存知ですか?「ブッシュドノエル」って変わった名前ですよね。
いったい何語なのか、どういう意味があるのでしょうか。
今回はこの「ブッシュドノエル」の意味や由来、そしてどうしてクリスマスケーキとして定番になっているのか、まとめました。
あー、早くクリスマスにならないかな。
もくじ
ブッシュドノエルとは?どんなケーキ?
ブッシュドノエル、皆さんご存知ですか?
クリスマスの頃になるとよく見かける、切り株型のケーキです。
木や薪を横に倒したような見た目をしていますね。
ブッシュドノエルはフランスの伝統的クリスマスケーキです。
日本でも人気のあるケーキですが、フランスでは大定番のケーキですよ。
スタンダードなブッシュドノエルは、ロールケーキの表面にココアクリームを塗って、フォークなどでひっかきます。
こうして樹皮を表現しています。
チョコレートで枝を模したり、ホイップクリームや白い砂糖で雪を表したりしています。
日本だとブッシュドノエルのカラーは茶色やホワイトが多いですが、フランスではピンクやブルーのものもあります。
これはフランボワーズ味のブッシュドノエル。動画では作り方も紹介されているのですが、クリームにフランボワーズを入れるとこんなにかわいらしいピンクになるんですね。甘酸っぱくておいしそう。
さすが本場ですね、いろいろ進化しているんですね。
ブッシュドノエルの言葉の意味や由来は?
フランス語での表記は Bûche de Noël です。読み方はよりフランス語に近く書けば、「ビュシュ・ド・ノエル」です。
Bûche=木の切り株
Noël=クリスマス
という意味です。
「クリスマスの切り株」という意味のケーキなんですね。
じゃあ、どうして切り株なんでしょう?
ブッシュドノエルとクリスマスの関係は?なぜクリスマスケーキになった?
・北欧神話説
樫という木の薪を暖炉で燃やすと、一年中災いや病気を避けることができるという神話から来た説があります。
北欧ではクリスマスのことを「ユール」と呼びます。ユールはもともとはケルト人やゲルマン人が冬至の祝いとして行っていたお祭りでした。
このユールでは、「ユールログ」と呼ばれる 大きな木の幹を薪にして燃やします。
クリスマスの日から12日間燃やし続け、燃えている間は、一族が悪魔から守られると考えられていました。 このユールログが後にヨーロッパ各地に広がり、現代もこの風習を続けている所もあります。
燃やされる木の幹が、ブッシュドノエルのケーキとして今も残っているという説です。
・灰が厄除け説
前年の冬の燃え残りの薪で作る灰は、その年1年の厄除けになると考えられていました。
灰を井戸に入れると水がよくなる、畑に撒けば土がよくなる、牛の餌に混ぜれば牛が安産、などのいわれもあり、灰が大事なものと考えられていました。
確かに現代でも、畑に灰を撒くと、土のアルカリ度を増して虫よけや肥料の役割を果たします。昔はその効用を厄除けや魔除け、自分たちに良い影響を与えるものとして縁起がいいと考えていたのでしょう。
そのためケーキも縁起のいいものにしようということで、薪のデザインが取られた説です。
・キリスト祝福説
キリストの誕生を祝って、夜通しで暖炉に薪をくべて燃やしたとことに由来している説です。
このように、薪や切り株は、北欧ヨーロッパ時代からの長い伝統と歴史の中から生まれてきたんですね。
薪を燃やす伝統
先ほど紹介したように、ブッシュドノエルには薪を燃やす習慣が影響していることがわかりますね。
年末に薪を燃やすことで、来年の厄除けをしようという伝統です。
日本では年末に大掃除をして厄を払うという習慣がありますが、
キリスト教圏では薪を燃やして厄を払うということのようです。
クリスマスは彼らにとって、年末の伝統行事なんですね。
日本でのイメージとは少し違うものかもしれません。
燃やすことにも伝統的なやり方があるようで、その一つを紹介します。
クリスマスに薪を燃やす時は、とにかく燃やし続けることが大事だとされていました。
火を絶やさないように燃やし続けます。
一本の薪を12月24日~1月1日までずっと燃やし続けます。
薪を燃やす場所は外ではなく、居間にある暖炉で燃やし続けないといけません。
また、複数の薪をくべていくのはご法度。
一本の大きい薪を、燃やし続けるのです。
そのためには大きさや硬さがとても大事で、大きな古い木が重用されます。
木が太くなるためには年月が必要ですし、より引き締まった硬い木であることも大切です。薪を燃やし続けた結果、灰がたくさんできれば新年は豊作だといわれています。
また薪が燃える火で壁に人影ができたら、家族の誰かが死ぬという言い伝えもあります。
少し怖いですね。
来年の健康や豊作を祝う縁起物でもあったわけです。
キリスト教伝来前は、北欧で冬至だった「ユール」ですが、のちにクリスマスのことを「ユール」と呼ぶようになり、現在も残っています。
ケーキでも、この北欧の古い宗教的慣習の「ユール」を守ろうと考えたのでしょう。
パリのケーキ職人たちが「ユール・ログ(ユールの丸太)」を作り、今のブッシュドノエルとして定着していったという流れですね。
貧しい青年のクリスマスプレゼント説もある
ブッシュドノエルの由来には、貧しい青年が恋人へのクリスマスプレゼントとして、せめてもの思いで薪一束を送ったというお話もあります。
そのお話から薪を模したケーキを作ったのが始まりだという説です。
出典ははっきりしていませんが、ロマンチックなお話として、ブッシュドノエルの説明としてあちこちで見かけます。
他の国のクリスマスケーキも見てみよう
フランスのクリスマスケーキはブッシュドノエルでした。
では他国ではどんなケーキをクリスマスに食べるのでしょうか。
イギリス・ドイツ・イタリアを紹介します。
・イギリス 「クリスマスプディング」
イギリスはクリスマスプディングです。
プディングと言っても、いわゆるプリンのようなものではなく、ケーキですね。
ナッツやドライフルーツにスパイスを入れて焼いた、茶色いケーキです。
・ドイツ 「シュトーレン」
ドイツはシュトーレンと呼ばれるケーキです。
これはケーキというよりもパンですね。
ドライフルーツが入った細長いパンです。
日本人的にはレーズンパンを想像すると近いと思います。
生地自体はあまり甘くないですが、ドライフルーツが入ることで甘みが感じられるケーキです。
日持ちしますし、寝かせると味の変化を楽しむこともできます
詳しくはこちらもどうぞ→ クリスマスに食べるシュトーレンとは?食べ方やカロリーをチェック
・イタリア 「パネトーネ」
イタリアはパネトーネです。
こちらもドイツのシュトーレンに似た、レーズンが入った甘くて柔らかいパンです。
シュトーレンは細長いですが、パネトーネはドーム型で見た目はケーキに近いですね。
これらのクリスマスプディング・シュトーレン・パネトーネはいずれも、
ドライフルーツを入れた、パンとケーキの中間のようなものです。
とても似ていますよね。
このヨーロッパ三国に比べて、フランスのブッシュドノエルは特殊です。
隣り合った国ですから、クリスマスケーキが似ているということは自然なことですよね。
フランスだけが特殊というのは興味深いです。
クリスマスケーキひとつとっても、フランス文化の面白さがわかります。
おわりに・まとめ
以上ブッシュドノエルについてまとめました。
元々フランスのケーキであるということ、クリスマスに薪を燃やす伝統があることが分かりましたね。
また他の国と比べても特殊なケーキだということは興味深いです。
今年のクリスマスは、ぜひブッシュドノエルを食べてみてください。