国民の祝日は学生や祝日が休みの社会人にとっては何日あっても嬉しいものです。

カレンダーを見ながら休みの日の予定を立てている人も多いでしょう。

11月には休日が2日あり、一つは勤労感謝の日、そしてもう一つは文化の日です。

特に文化の日は文化祭などのイベントが多く行われる時期なので、思い出に残っている人も多いでしょう。

そんな文化の日ですが、いつ作られてどういった意味がある日なのかについては、あまり意識したことのない人がほとんどでしょう。

実は文化の日には、知る前と知った後では見方が大きく変わってしまう深い歴史が隠されています。

この記事では文化の日について何の日か、文化の日の由来、いつ行われるのかや主に行われるイベントなどをまとめました。

これを読んで日本の文化をより深く知るきっかけにしましょう。

文化の日は何の日?

文化の日は、国民の祝日に関する法律によって定められた休日です。

その法律によると文化の日の趣旨は「自由と平和を愛し、文化をすすめる。」とあります。

この文化の日は日本国憲法が公布された日を記念したものなので、自由と平和を尊重する憲法の趣旨に合わせた内容になっています。

ちなみに公布は世間一般に法律の内容を知らせるもので、まだ法律は実行されていません。

施行になってはじめて法律が運用されるのですが、その日が5月3日の憲法記念日です。

つまり文化の日は、日本国憲法を世間に知らせた日を記念したものといってもいいでしょう。

文化の日はいつ?

文化の日は毎年11月3日です。

法律で休日として制定されたのは1948年(昭和23年)で、日本国憲法の施行から約1年後のことになります。

2018年は文化の日の制定から70周年にあたります。

特に70周年の記念式典などを行う予定はないようですが、毎年芸術祭や表彰をしているのでそこでは何か触れられるかもしれません。

文化の日の由来

文化の日の意味については前段で書いた通りですが、実は戦前にも11月3日は祝日でした。

今の文化の日とは名前が異なり明治時代には天長節、昭和からは明治節と呼ばれていて、同様に休日となっていました。

天長節は今でいうところの天皇誕生日です。

明治天皇の誕生日が旧暦の9月22日、今の暦で11月3日だったのでその日が明治の天長節とされました。

大正時代には大正天皇の誕生日が改めて天長節となったのですが、その後も明治天皇の誕生日を祝日にしようとする動きが盛んになります。

そして昭和になり、明治天皇の誕生日は明治節として改めて祝日に制定されました。

これは前述の動きに加え、一代前の天皇が崩御した日を先帝祭として祝日にしていたのが昭和になって廃止されたため、休日の減少を防ぐ意味もあったと言われています。

それ以後天長節と明治節に元旦のお祝いをする1月1日の四方拝(四方節)、神武天皇の即位した日とされる2月11日の起元節を加えた4つの日は「四大節」として国民的なお祝いの日となりました。

こうして戦前までは明治節として祝われていた11月3日ですが、敗戦を迎えると日本は連合軍総司令部(GHQ)に占領され、様々な干渉を受けることになります。

GHQは明治節と紀元節を休日とすることを認めず、結果的にこの二つの祝日は廃止されることになります。

GHQが認めなかった理由としては、この二つの日は過去の天皇を敬う日であったため、残すことが戦前の天皇崇拝につながると考えたからだと思われます。

そうして廃止された明治節に代わって制定されたのが、文化の日です。

実は日本国憲法を発布したころの政府は、11月3日を憲法記念日にしようとしていました。

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当時の政府は、憲法の公布日が11月3日になったのは半年後の施行日がメーデーの5月1日と重なるのを避けた結果と説明していました。

あくまで明治節と同じ日になったのは偶然としたわけですが、連合国側はその説明を信用せず、明治節を残そうとしたと判断しました。

その結果GHQの反対にあい、施行日の5月3日が憲法記念日となっています。

ちなみに明治節と同時に廃止された紀元節は1966年に「建国記念の日」として祝日に制定され、復活しています。

また現在文化の日を「明治の日」として改名しようとする動きがあり、自民党の議員連盟も作られています。

文化の日には何をする?主なイベントをご紹介

毎年文化の日には文化勲章の授章式など文化関連の公的行事が行われます。

一般の国民にとっては普通に休日となりますので、各々が好きに過ごすことができます。

文化の日ならではのイベントとしては、文化関連施設ということで全国の美術館や博物館で無料開放が行われます

代表的なところを挙げると東京の国立西洋美術館と東京国立近代美術館、国立科学博物館、神奈川の神奈川県立近代美術館、千葉の現代産業科学館などです。

国立西洋美術館は印象派などのフランス美術を中心にしたコレクションが有名な美術館で、建物の設計は歴史的建築家ル・コルビュジエによるものです。

コレクションに加えて建物もコルビュジエ作品の一つとして世界遺産に登録されており、内外で高い評価を誇る美術館です。

東京国立近代美術館は日本で最初の国立美術館で、横山大観をはじめとした国内の著名な芸術家の作品がコレクションの中心です。

重要文化財に指定されている作品を15点所蔵しており、コレクションの総数は13000点に及びます。

国立科学博物館は恐竜の化石など自然科学を中心とした展示や親子で楽しめる体験型展示、大型映像システムがあり子供を連れて行くのにピッタリです。

神奈川県立近代美術館は日本で最初の公立近代美術館で、明治以後の国内の芸術家の作品を中心に14000点を所蔵しています。

千葉県立現代産業科学館は、産業の歴史や先端科学に関する展示をはじめ、実験の実演や工作教室を行っており、こちらも親子で行くのに向いています。

美術館が中心ですが、科学系の博物館は子供も一緒になっていけるところが多いので近くの無料開放施設を探してみましょう。

ちなみに関西では「関西文化の日」として11月の第三土曜日と日曜日を中心に無料開放日を設定しています。

また文化庁が主催の文化庁芸術祭も行われます。

これは文化庁が国の芸術の創造と発展を図るもので、期間中には東京と大阪を中心に演劇や音楽、舞踊、大衆芸能の公演が行われます

文化の日に行われるフェアやお祭りもあります。

2017年に行われたものでは北海道の北斗市茂辺地さけまつり、宮城県のふるさと名取秋まつり、東京のドイツフェスティバル、神奈川の馬車道まつり、大阪のロハスフェスタ万博、福岡の白秋祭水上パレード、佐賀の唐津くんち、鹿児島の弥五郎どん祭りが代表的なものです。

ドイツフェスティバル以外はどれも地元色が強いお祭りなので、自分の住んでいる地域のお祭りをチェックしてみて下さい。

おわりに・まとめ

文化の日は日本国憲法の公布を行った日で、憲法の精神である自由、平和、文化を記念する日でもあります。

同時に戦前までは明治節として親しまれていた日でもあり、占領下の紆余曲折の後に制定された祝日という側面も持っています。

この日はさまざまなイベントが行われますので、ぜひ美術館や博物館、イベントにお出かけして文化を感じてください。

話のネタ以外にも、文化の日にどこに行こうか迷っている人がいたらシェアして教えてあげましょう。

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