10月に入ると色々なところでハロウィンイベントが行われます。
ハロウィンといえばコスプレ、と言っていいほど日本では仮装のイメージが強いですが、そもそもハロウィンと仮装って何の関係があるのでしょうか?
またゾンビなどモンスターのコスプレをした大人が多いことについて「子供が仮装するって聞いていたけど日本では大人ばかりが騒いでるのはいいの?」と思ったり、「皆おばけやゾンビなど怖いものの姿をしてるけど天使じゃダメなのかしら?」と思う人もいるのではないでしょうか。
実は大人がコスプレするのも、ゾンビなどのおばけの恰好をするのもハロウィンとしては何も間違っていないんです。
今回はハロウィンの仮装についての起源や由来、大人がする理由などをまとめてみましたので、これを読んでハロウィンの仮装をもっと楽しみましょう。
ハロウィンで仮装することの起源は?
ハロウィンは元をたどるとヨーロッパに古くから住んでいたケルト人という民族のお祭り「サウィン祭」が起源とされています。
サウィン祭が行われる10月31日はケルト人の暦では一年の終わりの日でした。
サウィン祭ではドルイドと呼ばれる呪術師が魔除けの火を焚き、各人はその火を持ち帰って家のかまどに入れ新年を迎えます。
ケルト人の間では一年の終わりには亡くなった家族の霊が家に帰ってくると同時に、悪霊や悪い妖精も現れて悪さをしたり子供を連れ去ると信じられていました。
そのため、仮装をすることで悪霊たちの目をごまかそうとしたのです。
仮装には魔除けの意味があったんですね。
ハロウィンの仮装の由来
ハロウィンの仮装はやってくる悪霊から子供たちを守るためにするものですが、なぜおばけの姿をする必要があるのでしょうか。
それには二つの説があり、一つは悪霊を怖がらせて追い払うために怖い恰好をしたというもの。
そしてもう一つは、悪霊の仲間の恰好をすることでやり過ごそうとしたというものです。
どちらにせよ、悪霊に襲われないために仮装をしていたということに違いはありません。
またサウィン祭はケルト人の自然信仰に基づいたお祭りで、生贄をささげていたと言われています。
その際に殺した動物の皮や頭蓋骨も仮装の道具となり、それらも身にまとって悪霊を遠ざけようとしたそうです。
仮装と言ってもこれは想像するとちょっと怖いですが、大昔の宗教儀式なので今からすれば野蛮なこともあったのでしょう。
ハロウィンを題材にしたホラー映画があったり、ちょっと怖いイメージがあるのはそんな逸話があるせいかもしれませんね。
その後ケルト人はキリスト教国家に帰順しますが、サウィン祭の風習は残り続けます。
そしてカトリックの諸聖人の日(オール・ハロウズまたはハロウマス)が11月1日にあたることからサウィン祭りのことをオール・ハロウズ・イブニング、ハロウマスイブニングと呼んだことがハロウィンの名前につながります。
そしてアイルランドに住んでいたケルト人の移住をきっかけにアメリカでも行われるようになりました。
その後アメリカでは仮装をした子供が「トリック・オア・トリート」と言っておかしをもらう形で定着しています。
ただアメリカでも安全上の理由から、仮装した子供が夜外をうろつくというのは少なくなっているそうです。
ハロウィンの仮装を大人もするのはなぜ?
今は大人も参加するハロウィンですが、従来は子供が仮装するものというイメージがあります。
これはアメリカで定着した形によるものですが、ハロウィンの元にあたるサウィン祭りでは子供だけでなく大人も含めて仮装していたとされています。
そのためルーツから考えれば変というわけではありません。
日本の場合は2000年前後から東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンがハロウィンイベントを開催したことから若い人を中心に広まりはじめました。
そこに90年代から流行しはじめたコスプレ文化やアメリカのハロウィンパレードが合流して、今のように街中をコスプレで練り歩くスタイルになっています。
特に渋谷のパレードが有名で、この日は外国人やメディアの取材も含めて100万人もの人が集まると言われています。
また日本だけでなくアメリカでも大人が参加する仮装パレードがいくつもあり、有名なものではニューヨークで行われるヴィレッジ・ハロウィン・パレードが挙げられます。
このヴィレッジ・ハロウィン・パレードは1974年に始まり2018年で45回目を数えるイベントです。
アメリカでは最大規模のハロウィンパレードで仮装してパレードに参加する人は5万人、見物客も含めると200万人にも及ぶ人が集まります。
このパレードは夜7時から行われ、第6大通りを1.6kmに渡って練り歩きます。
さらに仮装した人だけでなく大道芸人やアーティストも参加し、深夜まで喧騒が続きます。
夜に行われるイベントということもあって参加者は大人で、仮装の内容もアメリカンコミックのヒーローの恰好などおばけ以外の仮装も多く行われています。
ハロウィンの仮装でゾンビが多いのはなぜ?
ハロウィンの仮装でよくされているのがゾンビです。
ゾンビの仮装をすること自体はハロウィンの趣旨からしても外れていませんが、なぜゾンビが多いのでしょうか。
その理由はいくつか考えられますが、まず一つ目はゾンビは人間が変化するものなので、準備が簡単なこと。
次に日本で行われたハロウィンイベントの影響が挙げられます。
まず準備については狼男とかフランケンシュタイン、ドラキュラなんかだとそれらしい服や被り物が必要になりますが、ゾンビであればいらない服や古着をアレンジしてそれらしいスタイルにできます。
後はメイクで白くした顔に傷のシールを貼ればゾンビの出来上がりです。
ハロウィンが終わった後もゾンビ用のメイクを落として着替えれば普通の恰好にすぐ戻れ、大荷物も必要ありません。
服が普通のものを流用できるので、動きやすいこともメリットの一つです。
マントがあったり大きい被り物は動きにくく、周囲にぶつかることもありますが、ゾンビであれば心配ありません。
ハロウィンイベントについてはユニバーサルスタジオジャパンなどではハロウィンに合わせてテーマパークのキャストがゾンビに扮して来場者を驚かせるイベントを行っています。
そのイベントでキャストに合わせてゾンビの姿をする来場者が多くいたため、ゾンビのイメージが強くなったと思われます。
その他にも海外ドラマやアニメ、ゲームなどでゾンビが出てくるものが人気といったサブカルチャーの影響もあるでしょう。
コスプレが趣味の人はゾンビよりも手の込んだものを作りますが、一般人でもやりやすいというのがゾンビが人気の秘密ではないでしょうか。
おわりに・まとめ
ハロウィンの仮装は、もともと悪霊を遠ざける宗教的な意味を持ったものでした。
現在はそうした意味は薄れ、子供のイベントや仮装パレードとして楽しまれています。
大人が仮装をするのは恥ずかしいと思っていた人もいるでしょうが、元々のサウィン祭りでは大人も仮装していました。
現在でも大人が参加するパレードは日本だけでなくアメリカにもあり、始まった年代から考えればアメリカから日本に輸入されたものと言えるでしょう。
そのため「大人がコスプレして、変に思われないかな?」なんて気兼ねは必要ありません。
ハロウィンは非日常を味わえる空間なので、これまで参加していなかった人も簡単なゾンビの仮装からはじめてみてはいかがでしょうか。
話のネタ以外にも、ハロウィンイベントに参加する人がいたらシェアして教えてあげましょう。
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